
2026年にマンションの相場はどうなるのでしょうか。2025年の首都圏中古マンションは「成約件数が増え、成約価格も上がる」という一見わかりやすい相場でした。
ただ、売主が査定で失敗しやすいのは、首都圏平均だけを見て”自分も高く売れるはず”と判断してしまうことと、買い替え(住み替え)を同時に考えると資金計画がブレることです。
このあと、東日本レインズの一次データを、首都圏の売却査定で使える判断基準に翻訳していきます。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」(https://www.reins.or.jp/)

同じ「首都圏」でも、売れ方・値上がり方はエリアで大きく異なります。査定の場では、まず①首都圏平均(全体感)→②都県・エリア別(温度差)→③売出価格の動き(売れ残りリスク)の順に見ると判断がブレません。
2025年(1〜12月)の首都圏中古マンションは、成約件数49,114件(前年比+31.9%)と大きく増え、成約㎡単価82.98万円(+7.9%)/成約価格5,200万円(+6.3%)と上昇が続きました。平均築年数は26.58年まで進み、成約の中心が”新しい物件だけ”ではないことも読み取れます。
この数字だけを見ると「今は売り時」に見えますが、次のエリア差が非常に重要です。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.2, p.6(https://www.reins.or.jp/)

2025年の成約データ(中古マンション)を都県・エリア別に見ると、東京都区部が上昇を牽引している一方で、埼玉・千葉・神奈川(神奈川他など)は成約単価・成約価格が前年割れも出ています。
売主目線で重要なポイントは、「首都圏平均(5,200万円)」ではなく、”自分のエリアの成約水準”に引き直すことです。
| エリア | ㎡単価 | 前年比 | 成約価格 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都区部 | 130.75万円 | +13.2% | 7,401万円 | +11.2% |
| 多摩 | 55.51万円 | +0.3% | 3,690万円 | -1.5% |
| 埼玉 | 43.19万円 | -1.3% | 2,910万円 | -2.2% |
| 千葉 | 39.84万円 | -1.3% | 2,865万円 | -1.6% |
| 横浜・川崎 | 64.72万円 | +1.4% | 4,224万円 | -0.4% |
| 神奈川他 | 42.27万円 | -3.9% | 2,866万円 | -4.0% |
つまり、同じ2026年でも、都区部は価格の”上昇局面”、多摩は単価横ばいで価格は弱含み、周辺県は成約が前年割れのエリアもあるという”市場の分裂”が起きています。「自分はどの市場にいるか」を外すと、査定の結論(売出価格・売る順番)がズレます。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.8(https://www.reins.or.jp/)
2025年は、成約価格が上がっている一方で、新規登録(売り出し)側の平均価格の上げ方が非常に強かったのが特徴です。
| ㎡単価 | 前年比 | 価格 | 前年比 | |
|---|---|---|---|---|
| 首都圏 新規登録 | 95.98万円 | +24.7% | 5,557万円 | +25.7% |
| 首都圏 成約 | 82.98万円 | +7.9% | 5,200万円 | +6.3% |
ここから言えるのは、「売主の希望(売出)価格が上がりやすい年だった」ということです。実務的には、強気に出しすぎて売れ残る物件が出やすい(特に”比較されやすい”築年帯・間取り)一方、適正な根拠で値付けできれば買い手に選ばれやすくなるという2点を意味します。
※売出価格と成約価格は、母集団(物件構成)が同一ではないため「値引き率」を単純計算できません。ここでは”伸び率の差”を売主判断に使うのがポイントです。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.2, p.6, p.8(https://www.reins.or.jp/)
買い替えが怖い最大の理由は、「売れるまでの期間が読めない」ことです。東日本レインズの集計では、2025年の登録から成約に至る日数は、首都圏の中古マンションで平均82.5日(前年比-3.3%)でした。
もちろん平均なので、物件力・価格設定・販売戦略で前後しますが、査定フェーズではまず売却〜成約を概ね3か月前後の設計から入り、そこから「安全側のバッファ」をどれくらい取るかを考えると、買い替え不安が一気に現実的になります。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.9(https://www.reins.or.jp/)
2025年は、1億円超の成約件数が5,063件(10.3%)となり、首都圏全体の1割以上を占めています。都区部で売却を検討している場合、買い手は「住宅ローン上限」ではなく、資産性(立地・管理・希少性)で選別しやすくなります。このゾーンは”高く出せば売れる”ではなく、根拠がある物件だけが強いので、査定の作り込みが重要です。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.2, p.10(https://www.reins.or.jp/)

ここからは、同じデータを「売主の行動」に落とします。買い替えが怖い人ほど、査定前に①売出価格の作り方/②売る順番の決め方/③資金の安全余力をセットで固めると失敗が減ります。
査定で一番もったいないのは、「査定額=正解の価格」と思ってしまうことです。2025年のように売出価格が上がりやすい年は特に、”価格を1本に決め打ち”すると買い替えリスクが跳ねます。価格は、次の3本で持つと判断がブレません。
この3本があると、買い替えの順番(売り先行/買い先行)も”感情”ではなく”設計”で決められます。2025年は登録〜成約が平均82.5日という目安があるため、販売期間の想定に使いやすい年でした。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.9(https://www.reins.or.jp/)

2025年は首都圏平均で価格上昇でしたが、実務では次の分岐になります。東京都区部で売る場合は上昇が強く相場は追い風ですが(売出価格の上げすぎに注意)、多摩で売る場合は単価横ばい・価格は弱含みで売り急がない設計が必要です。埼玉・千葉・神奈川の一部で売る場合は成約単価・価格が前年割れのエリアもあるため、”相場より高く売る”には根拠が必須となります。
つまり、「今売れば高い」は都区部では成立しやすい一方、周辺では“売り方次第”に変わります。査定では必ず、同マンション内(同じ棟・同じ向き・近い階)や近隣の競合マンション(築年・駅距離・管理水準が近い)の成約事例に落として、エリアの数字を”自分の物件に翻訳”してください。「首都圏平均5,200万円」を自宅に当てはめるのが、一番危険です。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.8(https://www.reins.or.jp/)

買い替え不安は、「売れなかったらどうしよう」と「次が高くて買えなかったらどうしよう」がセットで来ます。ここで効くのが、2025年データに出ているエリアごとの温度差です。
たとえば(あくまで傾向として)、都区部→都区部の住み替えは売る側も買う側も強く資金は大きく動きますが同じ土俵で戦います。都区部で売って多摩・周辺県で買う場合は、売却側の上昇が強く購入側の伸びが弱い(あるいは下落)エリアがあるため資金的に組みやすいケースがあります。周辺県で売って都区部で買う場合は、売却側が伸びにくい一方購入側が強いため、資金計画の難易度が上がりやすいです。
この”温度差”を踏まえると、順番の考え方は以下のようになります。
売り先行が向くケース(買い替え不安を小さくしやすい)
買い先行が向くケース(住み替え先の確保を優先)
ポイントは、どちらが正解かではなく、3本の価格(強気・現実・安全)を作ってから順番を決めることです。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.8(https://www.reins.or.jp/)
査定の精度は、物件そのものだけでなく「情報の揃い方」で変わります。特に築年が進んだ物件が増えている昨今の相場では、管理・修繕の情報が価格を左右しやすくなります。
査定前に揃えるもの(最低限)
これが揃うと、査定が「相場の説明」ではなく、あなたの物件の”勝ち筋の設計”になります。首都圏の成約平均築年数は26.58年と経年化が進んでおり、”管理・修繕”の読みが以前より重要になっています。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.6(https://www.reins.or.jp/)
2025年の数字は強いので、売主が強気になりやすい年でした。ここで起きる誤解を押さえておきましょう。
実際は、エリア差が大きく、売出価格の上げ方も強い年です。だからこそ、成約事例に根拠を置き、3本の価格で順番まで設計するのが、2026年型の”安全な売却”です。
引用:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」p.2, p.6, p.8(https://www.reins.or.jp/)
2025年の首都圏中古マンションは、成約件数が大きく増え、価格も上昇しました。一方で、査定・売却実務で見るべきポイントは「首都圏平均の上昇」ではなく、エリアごとの温度差と、売出価格の上げすぎが起きやすい構造です。
買い替えが怖い人は、強気・現実・安全の3本の価格を作り、登録〜成約の目安(日数)からスケジュールを逆算し、エリア差を踏まえて売り先行/買い先行を選ぶ——この順で整理すると、「今売るべきか」「買い替えが成立するか」が、感覚ではなく数字で判断できるようになります。
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